文献詳細
連載 実は日本生まれの発見・8
腸炎ビブリオ
著者: 柳原格1 本田武司2
所属機関: 1大阪府立母子保健総合医療センター研究所免疫部門 2一般財団法人阪大微生物病研究会
ページ範囲:P.1315 - P.1315
文献概要
敗戦後間もない社会不安のなかの1950年,大阪府南部で発生したシラス食中毒事件では,患者272人のうち20名が亡くなった.7名は,加熱後のシラスを食べて発症している.患者は食後2~6時間(一般的には12時間程度)で発症,激烈な腹痛,嘔吐,下痢,水様便,血便,脈拍やや頻数・細小,筋防衛は認めず,意識は最後まで明瞭,との記録がある.一方,同大学法医学の大村得三教授(当時)は,剖検所見として胃カタル症状,腸粘膜の著しい充血,回腸・空腸の軽度のびらん,脳の血管怒張,各臓器のうっ血,などを報告されている.
掲載誌情報