icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina50巻9号

2013年09月発行

文献概要

特集 内科医のためのクリニカル・パール2 総合診療

総合診療のクリニカル・パール

著者: 北和也1 徳田安春2

所属機関: 1阪南市民病院総合診療科 2筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター総合内科

ページ範囲:P.1540 - P.1543

文献購入ページに移動
「認知症だから仕方ない」ではなく,「認知症だからこそ」より工夫をしてしっかり問診・身体診察を行う!

 認知症,精神疾患,小児など,意思疎通が難しく,問診・身体所見を十分にとれないケースは確かにある.そこで,「意思疎通が難しいので,さっさと検査だ!」となっても,大抵うまくいかない.意思疎通の困難なケースほど,より一層工夫して問診・身体診察を行うことが重要である.これは,「好中球減少症だから炎症所見がどうせ出にくいだろう」といって絨毯爆撃的な検査を行うのではなく,「より一層問診・身体診察に力を入れて,感染巣を絞り込む努力をしよう」という思考によく似ている.例えば,認知症患者における瞳孔の観察でArgyll-Robertson瞳孔(対光反射は消失するが近見反射は保たれているもの)を認めると,神経梅毒を疑うきっかけとなる(表1).妥協をするのは簡単であるが,妥協は診療をより複雑にするので後でしっぺ返しがくる.困難な症例ほど基本に忠実でありたい.

参考文献

1)Dacso CC, Bortz DL:Significance of the Argyll Robertson pupil in clinical medicine. Am J Med 86:199-202, 1989
2)須藤 博,他(訳):サパイラー身体診察のアートとサイエンス,原著第4版,医学書院,2013
3)仲田和正:手・足・腰診療スキルアップ,CBR,2004(この本は素晴らしい本です.しかし,実際に西伊豆病院で仲田先生から教わると,何倍にも理解が深まります.是非西伊豆病院での研修をお勧めいたします.)
4)Hoppenfeld S:図解─四肢と脊椎の診かた,医歯薬出版,1984
5)Tiru M, et al:Use of percussion as a screening tool in the diagnosis of occult hip fractures. Singapore Med J 43:467-469, 2002
6)小関一英(訳):急性腹症の早期診断―病歴と身体所見による診断技能をみがく,MEDSi, 2012
7)青木 眞:レジデントのための感染症診療マニュアル,第2版,医学書院,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?