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文献詳細

雑誌文献

medicina50巻9号

2013年09月発行

文献概要

特集 内科医のためのクリニカル・パール2 循環器

不整脈のクリニカル・パール

著者: 村川裕二1

所属機関: 1帝京大学医学部附属溝口病院内科

ページ範囲:P.1606 - P.1609

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器質的心疾患があるときⅠ群薬は使いにくい:CAST試験が教えたこと

 心筋梗塞後に心室期外収縮(PVC)や非持続性心室頻拍(nsVT)が多いと予後が悪いという観察に基づいて,CAST study1)が計画された.「陳旧性心筋梗塞のPVCやnsVTを薬物治療で減らすと予後が良くなる」という仮説の検証が目的であった.エンドポイントは心臓死あるいは心停止からの蘇生である.平均年齢61歳の1,498例を対象に,エンカイニド,フレカイニドのいずれかによってPVCが80%以上,nsVTが90%以上減少できた症例のみを選んで試験が行われている.

 結果として不整脈死は実薬群43例,プラセボ群16例(p=0.0004)と,予想とは逆の結果が得られた.急性心筋梗塞やうっ血性心不全など不整脈以外の心臓死は実薬群17例,プラセボ群5例(p=0.01).実薬のほうで予後は悪く,試験は中止された.さまざまな視点から原因が論じられたが,「フレカイニドやエンカイニドと急性虚血との“相互作用”でイベントが増えたのかもしれない」という推測がある.

参考文献

1)Echt DS, et al:Mortality and morbidity in patients receiving encainide, flecainide, or placebo. The Cardiac Arrhythmia Suppression Trial. N Engl J Med 324:781-788, 1991
2)Disertori M, et al:Valsartan for prevention of recurrent atrial fibrillation. N Engl J Med 360:1606-1617, 2009
3)Van Gelder IC, et al:Lenient versus strict rate control in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 362:1363-1373, 2010
4)Sato H, et al:Low-dose aspirin for prevention of stroke in low-risk patients with atrial fibrillation:Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial. Stroke 37:447-451, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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