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連載 実は日本生まれの発見・9
レボフロキサシン
著者: 二木芳人1
所属機関: 1昭和大学医学部内科学講座臨床感染症学部門
ページ範囲:P.1511 - P.1511
文献購入ページに移動LVFXの発売当初,PK-PD理論はわが国では一般には十分浸透しておらず,濃度依存的な殺菌性を示すニューキノロン系薬も,わが国では1日3回の分割投与が行われていた.しかし,欧米ではPK-PD理論の応用から,発売当初から1日1回の投与で,投与量も500mgと高用量が用いられていた.さらに,経口薬のみが臨床使用されてきたわが国と異なり,海外では発売当初から注射剤型の臨床使用も開始されていた.わが国でこの1日1回投与や注射剤型が用いられるようになったのは最近のことであるが,わが国で開発された薬剤が適正使用で海外に後れを取ったということは,ある意味奇異な現象である.現在もLVFXは,わが国のみならず海外でも最も多く処方されている抗菌薬の一つである.しかし近年,LVFXにも耐性化の問題が生じつつあり,大腸菌などではすでに事態は深刻である.また,呼吸器感染症で最も重要な病原菌である肺炎球菌でもその兆しがみられ,アジアの一部の地域ではすでに高頻度との報告もある.これを少しでも遅らせるための努力は臨床医にとって重要な使命であり,そのためにはLVFXの適正な使用,すなわち不必要な使用を避け,使用に際しては投与法や投与量,投与期間に十分な配慮が求められる.昨今ではLVFXに勝る活性を有する新しいニューキノロン薬もいくつか登場しており,耐性化防止のためにはこれらの活用も必要であろう.しかし,きわめて優れた安全性を誇るLVFXは,それゆえに海外ではさらに投与量を増して1日750~1,000mgでの使用も行われており,わが国でもそのような試みが行われてもよいのではないかと考えている.
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