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文献詳細

雑誌文献

medicina51巻10号

2014年10月発行

文献概要

連載 患者さんは人生の先生・10

過剰なストレスは病気のもと

著者: 出雲博子1

所属機関: 1聖路加国際病院内分泌代謝科

ページ範囲:P.1953 - P.1953

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 私は内分泌専門医として、各種ホルモンの異常をきたす疾患を診ている。その多くは自己免疫疾患であるが、それらがどんな風に発症したかを少し紹介しようと思う。

(1) 24歳女性。最近両親との争いが絶えず母親に連れられて心療内科を受診したが、甲状腺機能が著明上昇していたため当科へ紹介された。バセドウ病を発症していた。彼女は仕事場での責任と負担が大きく、上司との人間関係で長い間かなり悩み、最近会社を退職したが、そのことで両親に咎められていた。

(2) 34歳女性。動悸と体重減少があり近医より紹介されて当科受診した。freeT4が7.77ng/dL以上に上昇しており、バセドウ病であった。彼女は結婚後も自動車の営業所で責任をもって夜遅くまで働く一方、不妊治療を受けていた。妊娠できずにいることで婚家に対し強い負い目を感じており、最近は心身ともに疲れていたという。

(3) 45歳女性。バセドウ病であることを近医で発見されて紹介された。独身で働きながら、公認会計士と介護士の免許をとるための勉強を並行していた。今回は準備が間に合わず国家試験を受けることができなかった。

(4) 19歳女子大学生。1カ月も風邪が治らず咽頭痛著明のため受診した。血糖が581mg/dLで意識低下があり、動脈血がpH 6.785に低下していたため、ICUに入院とした。DKAを発症した1型糖尿病であった。建築士を目指しており、学年度末試験の準備のため、咽頭痛も我慢して毎晩遅くまで勉強していた。

(5) 36歳の精悍なヨーロッパ人男性。最近、体重減少著明で3週間で7キロ痩せ、当科を受診した。空腹時血糖が445 mg/dLで尿中ケトンも3+であったので入院とした。1型糖尿病であることが判明した。東京にある外資系銀行に赴任してきたばかりで、仕事における要求度が大変高く毎日夜遅くまで仕事をしていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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