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文献詳細

雑誌文献

medicina51巻2号

2014年02月発行

文献概要

連載 依頼理由別に考える心臓超音波検査とりあえずエコーの一歩先へ・9

依頼理由{その8}“心囊液貯留を指摘されました.息切れ増悪も認めています”~心膜炎ですか,心タンポナーデですか~

著者: 鶴田ひかる1 香坂俊1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部循環器内科

ページ範囲:P.348 - P.354

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 心臓はツルツルとした心膜に覆われて保護されていますが,あまりに薄いので正常の心エコーでは心膜の存在を意識することはほとんどありません.ただ頻度は多くありませんが,心臓を包む膜の異常により引き起こされる病態は確実に存在します.

 そもそも心膜というのは厳密には臓側と壁側に存在し,間にオイルのような役割を果たす心囊液をごく少量含んでいます(50 cc以下).このベアリングのような機構(図1)で,心臓がどっかんどっかん動いているときに周りの臓器との摩擦を和らげています.しかし,それだけにちょっとしたキッカケで傷みやすく,これはリウマチのときの関節炎を想起していただくとわかりやすいと思うのですが,心膜炎(急性または慢性),収縮性心膜炎などの疾患を起こします.さらに,心囊は「閉鎖空間」であることから,心囊液貯留により生じる心タンポナーデなどといった事態も起こりえます.

参考文献

1)吉川純一(編):臨床心エコー図学,第3版,p 463, 2008
2)Oh JK, et al(著):The Echo Manual, LWW, Philadelphia, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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