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特集 虚血性心疾患up to date―内科医によるトータルマネジメント 疫学・病態
冠動脈病変およびステント治療後の病理像―冠動脈の実像を理解する
著者: 井上勝美1
所属機関: 1小倉記念病院検査部
ページ範囲:P.594 - P.599
文献購入ページに移動◎冠動脈硬化症の主因である粥状硬化は,脂質やプロテオグリカンなどの沈着に加えて,線維性結合組織の増生,さらには血液由来の細胞・物質の浸潤と石灰化巣の形成などにより,主として内膜が肥厚する病態と表現される.
◎その結果生じた狭窄部位に対して,冠動脈ステント留置術は,安定した大きな内腔拡大効果が得られ,現在の虚血性心疾患の治療において中心的地位を占めている.しかし術後数カ月以内に生じる再狭窄は,本治療法の“アキレス腱”となっている.
◎薬剤溶出性ステントは,新生内膜の増生を強力に抑制することにより,現在最も優れた再狭窄防止効果を示す治療器具であるが,留置部における内皮細胞の再生反応も抑制(遅延)するため,(遅発性)ステント血栓症の危険性などに関して,注意深い検討が必要である.
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