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文献概要
連載 患者さんは人生の先生・7
病気への姿勢はその人を語る
著者: 出雲博子1
所属機関: 1聖路加国際病院内分泌代謝科
ページ範囲:P.1335 - P.1335
文献購入ページに移動患者さんは毎日の運動も続けて、良好な血糖コントロールを維持していた。同じ企業の診療所に同じ病気で受診されていた患者さんが何人もおられたが、そのなかでもこの患者さんは初めてお会いした時から、群を抜いて意志が強い方だった。他の方たちは、「会社の性質上、付き合いで飲まなければいけないことが多いんですよ」とか、「皆がタバコを吸っているので、自分だけやめるのもなかなか難しいんです」と言って、暴飲をやめられなかったり、禁煙をできない方も少なくなかった。また薬をうっかり飲み忘れる人も少なくなかった。しかし、この患者さんは宴会に出席しても暴飲暴食はしないし、毎朝スクワット100回を含む体操をして30分ウォーキングをしてから、電車で出勤していた。彼は真面目なだけでなく、大変明るくユーモアのある方だった。いつも私の診察室のドアを開けるとき、まるで私が患者であるかのように、「先生元気ですか?」と言いながらニコニコして入って来るので、私のほうが元気づけられていた。そして、HbA1cを6.5%前後に維持し続け、合併症などは全く起こさなかった。
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