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連載 患者さんは人生の先生・8
処方した薬と服用した薬
著者: 出雲博子1
所属機関: 1聖路加国際病院内分泌代謝科
ページ範囲:P.1541 - P.1541
文献購入ページに移動私も初めは、こんなに薬が出されているのにHbA1cが高いままということは、インスリン分泌が枯渇して、外からインスリンを与えなければならなくなっているのかなと思った。しかし、そう判断する前に「4種類の薬は違った働き方で血糖を下げるのですが、全部飲んでいましたか」と確かめてみると、患者さんは「実は、糖尿病という一つの病気のためにどうして3、4種類も薬を飲まなければならないのかわからないし、薬の飲みすぎは良くないと思い、全部は飲まないで引き出しに薬がたくさんたまっています」と答えた。そこで、患者さんに各薬剤の作用機序を説明し、併用の意味について話すと、驚きつつも、薬を併用することに納得された。そして、インスリン注射が必要かどうか判断する前に、これらの薬を全部飲んでみてもらうことにした。ひと月後、患者さんのHbA1cは8%台、2カ月後には7.4%まで改善していた。患者さんは、各薬剤の働き方の違いがきちんとわかったので全部飲んでいたという。私は処方を新たに追加したわけではなかった。
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