文献詳細
書評
—岡田 定 編著 樋口敬和,森慎一郎 著—レジデントのための血液診療の鉄則 フリーアクセス
著者: 冨山佳昭1
所属機関: 1阪大病院・輸血部
ページ範囲:P.63 - P.63
文献概要
そんな若手医師の血液診療に対する一抹の不安を払拭してくれるのが本書である.『レジデントのための血液診療の鉄則』というタイトルの本書を手にしたとき,「鉄則」という,いわば古めかしい文字がまず目に飛び込んでくる.さらに序には,若手医師に「血液診療の鉄則」を刷り込む本である,とあり,かなり硬派なイメージである.今風のタイトルでいえば,「わかりやすい○○診療の基本」「○○診療のツボ」あるいは「○○診療のガイドライン」といったところか.しかし,本書を読んでみると,聖路加病院血液内科のベテラン医師たちの若手医師への,さらには血液患者さんへの愛情が溢れているのを実感でき,なぜあえて「鉄則」との表現を用いたのか,納得できる.特に,本書の強みは豊富な経験に基づいて作成された「プラクティス」の項目であり,さまざまな症例提示を通して,その鑑別診断に始まり,治療法の選択とその効果,さらには患者さんへの説明内容まで,実際にその症例を体験できる形で知識が整理されることにある.それぞれの項目は,決して表面的な記述のみにとどまらず,最先端の情報がくどくない程度にちりばめられてあり,若手医師のみならず血液専門医にとっても大変有用な実用書であるといえる.
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