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文献概要
連載 失敗例から学ぶプレゼンテーション患者説明から学会発表まで・9
ビジーなスライド
著者: 竹本文美1 植田育子2 田中雅美3 八幡紕芦史4
所属機関: 1独立行政法人地域医療機能推進機構東京城東病院内科 2慶應義塾大学医学部循環器内科 3津田沼中央総合病院病理センター 4国際プレゼンテーション協会
ページ範囲:P.184 - P.188
文献購入ページに移動あなたは医学生に「ネフローゼ症候群」の講義をすることになった.そこでコンピュータのスイッチを入れ,パワーポイントを立ち上げた.しばらく考えた後で,季節に合わせて桜の花をあしらった背景を選んで文字を打ち込んだ.そして,医学書・雑誌を参考にしながら次々とスライドを作った.治療のアルゴリズムと細胞などの図や写真は,インターネットからコピーしたり,本からスキャンしてスライドに取り込んだりした.かなり枚数も多く充実した内容のスライドができあがった.
当日は用意したスライドを投影し,自信をもって講義を行った.ところが,終盤にはスライドの枚数が多かったことと,1枚の情報量が多かったため,予想以上に時間がかかり,最後は早口になってしまった.何枚かのスライドはすっ飛ばして,眼にもとまらぬ早業で最後のスライドまで行き着いた.「ビジーなスライドで申し訳ありませんでした」と言い,時間通りに終えた.最後は駆け足だったものの,充実した講義ができたと満足した.ところが,ふと学生のほうを見ると,なにやらよそよそしい態度で教室から出て行った.
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