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特集 内科プライマリケアのための消化器診療Update
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著者: 上野文昭1
所属機関: 1大船中央病院
ページ範囲:P.1655 - P.1655
文献購入ページに移動最近は総合内科的なとらえ方で,患者全体の問題解決を図る手法に回帰しつつあります.これには類を見ない高齢化の影響が少なくありません.現在の患者の中心は高齢者,それも後期高齢者が占める割合が急増しています.一昔前だったら胃の腫瘍を診断して内視鏡で切除したり,抗ウイルス薬で肝炎ウイルスを排除したりすれば,よいアウトカムが期待できました.大腸がん検診でがんが見つかれば患者にとって意味のある成果と言えました.今はそうは行きません.高齢者は併存症があるのが当たり前,数種類の薬剤を服用し,生命予後もQOLも限定的ということもよくあります.消化器の病変・病態を治癒させることが患者アウトカムを改善するという保証はありません.患者に良かれと思って行った治療介入が,逆に健康寿命を短縮させる恐れすらあります.総合内科的な視点で患者をよく診て,患者の利益が期待できるような消化器診療をしなければならないわけです.
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