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文献詳細

雑誌文献

medicina52巻10号

2015年09月発行

文献概要

特集 内科プライマリケアのための消化器診療Update [特別寄稿]海外の医師が見た日本の消化器診療

〈邦訳〉日本の消化器診療に対する一考察

著者: 上野文昭1

所属機関: 1大船中央病院消化器・IBDセンター

ページ範囲:P.1797 - P.1799

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[訳文]
 日本では消化器症状の原因診断のため,あるいは胃・大腸癌のスクリーニングのために,内視鏡,X線造影,US/CT/MRIなどの画像検査が広く普及しています.ここで思い浮かぶのは,これらの検査は費用に見合った効果が得られるのか,あるいは過剰に用いられているのはないかという疑問です.これらの検査が普及していることが,症状や身体所見の臨床的評価という基本から遠ざかってしまうという不幸な傾向(私見ですが)に拍車をかけているのかもしれません:つまり検査ができるのに,何でしないのというように.
 臨床医は,検査結果が患者の治療に影響を与えるのかということを考えながら,検査のオーダーの妥当性を常に意識しなければならないと思います.ルーチン化した検査や単にガイドライン通りの検査は,患者に害を与えうる怠惰な思考を促します.詳細な病歴を取り全身の診察をするという昔からの方法は,臨床医に患者のどこが悪いのかという理にかなった考えを可能にします.そして暫定診断を確定または除外するための特定の検査の適応(これは診療録に記載されなければなりません)というものがあるのです.そうしないと消化器患者は内視鏡検査による不便,不安(時として強度の),苦痛,そしてわずかですが出血や穿孔の危険,バリウム検査やCTによる被爆,鎮静薬の副作用,内視鏡を介した感染などに不必要に晒されることになります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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