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文献詳細

雑誌文献

medicina52巻11号

2015年10月発行

文献概要

REVIEW & PREVIEW

機能性ディスペプシア

著者: 三輪洋人1

所属機関: 1兵庫医科大学内科学消化管科

ページ範囲:P.2040 - P.2043

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何がわかっているか
機能性ディスペプシアとは
 ディスペプシアとは,「胃が痛い」「胃がもたれる」など上腹部を中心とする症状を指す.このディスペプシア症状を有する人は非常に多く,日本人の約1割が日常的にディスペプシア症状を有しているとされる.しかし,その原因として器質的疾患が認められることは少なく,ディスペプシア患者の1割にも満たないことが報告されている.つまり,症状の原因は胃癌や潰瘍などの器質的疾患ではないことが圧倒的に多い.
 このように,内視鏡検査などによっても明らかな器質的疾患がみられないのにディスペプシア症状を訴える疾患を機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)と呼ぶ.これまでFD患者は慢性胃炎と診断されて治療されることが多かったが,本来なら慢性胃炎は胃粘膜の組織学的炎症を指すものであるため,症状の有無とは切り離して考えるべきものである.すなわち,組織学的胃炎があるからといって症状があるわけではなく,逆に症状があるからといって組織学的胃炎があるわけではない.したがって,組織学的胃炎のない有症状患者はFDとして治療すべきである.

参考文献

1)三輪洋人:機能性ディスペプシアの考え方.日消誌109:1683-1696, 2012
2)日本消化器病学会(編):機能性消化管疾患診療ガイドライン2014-機能性ディスペプシア(FD),南江堂,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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