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文献詳細

雑誌文献

medicina52巻13号

2015年12月発行

文献概要

特集 抗血栓療法—おさえておきたい最新のエッセンス

著者: 中村真潮12

所属機関: 1三重大学大学院循環器・腎臓内科学 2村瀬病院 肺塞栓・静脈血栓センター

ページ範囲:P.2283 - P.2283

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 わが国は高齢社会の時代となり,生活習慣病の増加も手伝いアテローム血栓症や心房細動に伴う脳塞栓症,さらには静脈血栓塞栓症などのさまざまな血栓性疾患が急増している.血栓とは,本来,障害された血管を修復して出血から生体を守り,血管破綻部位からの病原微生物の侵入を防ぐために人類が獲得した生体防御機構である.これが何らかの理由により制御されないと病的な血栓が形成され,血管閉塞を生じて臓器を障害する.近年は栄養過多やライフスタイルの変化,あるいは高齢化により,この止血機構が相対的に過剰となり疾病の増加につながっている.
 病的な血栓により発症した疾患,すなわち血栓症を主に薬剤により治療や予防するのが抗血栓療法であり,抗血小板薬や抗凝固薬,血栓溶解薬が用いられる.従来,アスピリンやワルファリン,未分画ヘパリン,ウロキナーゼ等が抗血栓療法の中心だった.しかし,これらは一定の有効性を示すものの,効果が不安定であったり出血の合併症を生じやすかったりと,種々の問題点が指摘されてきた.このため,従来薬の欠点を補う新しい薬剤の開発が精力的に行われ,最近,多くの新規抗血栓薬が使用できるようになった.臨床試験の結果を見る限りその効果は明らかであり,臨床的有用性は疑いのないもののように思える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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