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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 臨床検査の標準化

臨床検査値のJCCLS共用基準範囲とその利用

著者: 康東天12

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院臨床検査医学 2九州大学病院検査部

ページ範囲:P.10 - P.13

 血液検査などの検体検査データは患者の診断や治療の決定に必須の客観的な医学的情報である.その重要な指標の1つが基準範囲であるが,その設定や利用においては,多くの施設で異なった方法が取られ統一されていないのが現状である.少数の基準個体データに基づき,求められた施設固有の基準範囲,試薬メーカーの推奨値,委託先衛生検査所の値,論文や教科書の値などがある.そのような理由から,検査の標準化が進んだ項目でも,管理血清試料に対して同じ測定値を正しく出している施設間で使用されている基準範囲が大きくばらついている現状がある(図1).
 近年の医療の分業体制の進行とともに,医療の地域連携が重要視され,個人を生涯にわたって健康管理できる医療システムの構築が模索されている.また,現在の疫学研究では10万人規模の集団を10年以上にわたって追跡することも稀ではない.このように,患者の診療においても臨床研究においても,臨床検査データは時間的空間的にますますビッグデータとして蓄積されようとしている.これらの臨床検査情報を正確かつ有効に利用するためには,検査値の時間的空間的比較性の保証とその判断基準の統一が必須である.

参考文献

1)Ichihara K, et al:The Asian project for collaborative derivation of reference intervals. Clin Chem Lab Med 51:1429-1442, 2013
2)Yamamoto Y, et al:Nationwide multicenter study aimed at the establishment of common reference intervals for standardized clinical laboratory tests in Japan. Clin Chem Lab Med 51:1663-1672, 2013
3)Kinoshita S, et al:Standardization of laboratory data and establishment of reference intervals in the Fukuoka prefecture:A Japanese perspective. Clin Chem Lab Med 39:256-262, 2001

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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