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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 一般検査 髄液そのほかの穿刺液

髄液検査

著者: 渡邊卓1

所属機関: 1杏林大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.42 - P.44

検査の概要
 髄液(脳脊髄液:cerebrospinal fluid)は,くも膜下腔および脳室を満たす無色透明な水様の液体である.中枢神経系への物理的侵襲に対する保護の役割を果たすのみならず,脳室,くも膜下腔内の化学的ホメオスターシスの維持,栄養物質,代謝産物などの輸送,除去などの役割をも担うとされる.髄液は基本的には血液成分に由来するが,髄液の産生は単なる透過,拡散のみではなく,能動的かつ選択的な物質の輸送によるところが大きいと考えられる.
 髄液検査が日常臨床のなかで特に重要な役割を果たすのは中枢神経系疾患の診断であるが,なかでも各種頭蓋内感染症の診断には不可欠である1).このほか,くも膜下出血,頭蓋内悪性腫瘍,脱髄疾患などの診断にも有用な情報を提供する.近年,髄液中の神経伝達物質などの微量物質の定量も試みられ,中枢神経系の機能との関連や,これまで客観的な検査データによる裏付けの困難であった精神疾患(状態)との関連なども検討されるようになってきている.

参考文献

1)Smith GP, Kjeldsberg CR:Cerebrospinal, synovial, and serous body fluids. Henry JB(ed):Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Methods, 19th ed, pp 457-467, WB Saunders, Philadelphia, 1996

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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