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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液検査 血球検査

EPO(エリスロポエチン)

著者: 小松則夫1

所属機関: 1順天堂大学医学部内科学血液学講座

ページ範囲:P.76 - P.77

検査の概要
 エリスロポエチン(erythropoietin:EPO)は主に腎臓から産生される分子量約34kDa,165個のアミノ酸からなる糖蛋白性の造血因子で,赤芽球系前駆細胞に特異的に作用し,その増殖や分化を支持し,赤血球造血を促進する.EPO産生を調節するのは酸素の需要供給のバランスであり,腎臓の細胞に存在する酸素センサーが働いて,その情報をEPO産生細胞(renal EPO producing cells:REP細胞)に伝え,転写因子である低酸素誘導因子(hypoxia inducible factor:HIF)の安定化によってEPO遺伝子の転写が促進され,EPO産生が誘導される1).すなわち,低酸素状態(高地在住,肺疾患など)や貧血に陥ると組織での酸素が欠乏し,それが刺激となって腎におけるEPO産生が亢進し,赤血球造血が刺激され,赤血球数が増加する.
 一方,酸素過剰や多血症の際にはEPO産生は低下し,赤血球造血は抑制される.このように,赤血球産生のホメオスタシスは巧妙な制御を受け,維持されているため,血中EPO値の測定は生体内での赤血球造血の状態を把握するうえで,有用な検査である.病院外の検査機関への測定依頼(外注検査)が可能である.

参考文献

1)小松則夫:家族性赤血球増加症における低酸素誘導因子(HIF)およびHIF制御分子異常.臨血50:1589-1594, 2009
2)Erslev AJ, et al:Erythropoietin titers in anemic, nonuremic patients. J Lab Clin Med 109:429-433, 1987

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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