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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液検査 血栓・止血検査

ADAMTS13

著者: 高蓋寿朗1

所属機関: 1呉医療センター・中国がんセンター血液内科

ページ範囲:P.90 - P.91

検査の概要
 von Willebrand因子(von Willebrand factor:VWF)はマルチマー構造を形成した状態で血管内皮細胞と血小板から放出され,止血血栓形成の場において重要な機能を示す.一方,全身の微小血管内に病的血栓が形成されることによって発症する血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)において,血中に超高分子マルチマーが出現することが報告されていた.1990年代以降,TTPにおいてVWFマルチマーを選択的に切断する酵素活性の低下が認められることが指摘され,この酵素がADAMTS13と呼ばれるメタロプロテアーゼであることが明らかとなった.
 ADAMTS13はVWFの特定の部位を切断するが,この切断部位を含む73アミノ酸からなるVWFのペプチド断片(VWF73)がADAMTS13の最小基質であることが見いだされている.また,VWF73がADAMTS13によって切断されて生じる切断端のアミノ酸残基を特異的に認識するモノクローナル抗体も開発され,VWF73とこのモノクローナル抗体を利用して高感度ELISA活性測定法(act-ELISA法)が確立されている.測定法の原理は参考文献を参照していただきたい.

参考文献

1)松本雅則,藤村吉博:von Willebrand因子切断酵素(ADAMTS13).日内会誌98:1586-1592, 2009
2)藤村吉博:TTPの診断と治療.日血栓止血会誌19:358-362, 2008

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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