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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液検査 血栓・止血検査

線溶活性化マーカー—FDP,D-ダイマー,PIC

著者: 朝倉英策1

所属機関: 1金沢大学附属病院高密度無菌治療部

ページ範囲:P.105 - P.107

検査の概要
 組織因子(tissue factor:TF)の作用によって凝固活性化を生じると,最終的にトロンビンが形成される.トロンビンがフィブリノゲンに作用すると,フィブリノゲンはフィブリンに転換して,さらにフィブリンが重合すると血栓が形成される.この重合されたフィブリンを安定化するために,血液凝固第XIII因子による架橋結合(cross-link)が行われる.これに対して,形成された血栓を溶解しようとする働きのことを線溶(fibrinolysis)と呼ぶ(図1).
 線溶が開始されるためには,血管内皮からの組織プラスミノゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator:t-PA)産生が必要である.t-PAは,プラスミノゲン(肝で産生)をプラスミンに転換し,プラスミンは血栓(架橋化フィブリン)を分解する.血栓が分解された際に生ずる分解産物のことをFDP(D-ダイマー)という.t-PAおよびプラスミノゲンはフィブリン親和性が高く,フィブリン上で能率良く線溶が進行する.

参考文献

1)朝倉英策:播種性血管内凝固症候群(DIC).朝倉英策(編):臨床に直結する血栓止血学,pp 168-178,中外医学社,2013
2)Asakura H:Classifying types of disseminated intravascular coagulation;Clinical and animal models. J Intensive Care 2:20, 2014
3)朝倉英策:しみじみわかる血栓止血─vol. 1 DIC,血液凝固検査編,pp 57-70,中外医学社,2014

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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