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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液検査 血栓・止血検査
HIT抗体検査
著者: 金子誠1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学
ページ範囲:P.112 - P.114
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血栓治療薬として投与される抗凝固薬のヘパリンの副作用には,出血のほかにヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)がある.HITは,手術症例や血栓症発症例へのヘパリン投与後5〜14日頃に,血小板減少や血栓症の発症・増悪によって疑われる.病態の中心となるのが,血小板第4因子(platelet factor 4:PF4)とヘパリンが結合した複合体に対する抗体(HIT抗体)である.保険収載されているHIT抗体検査法は免疫学的測定法で,ラテックス凝集法および化学発光免疫測定法に基づきHIT抗体を検出する1).
ラテックス凝集法(HemoslL® HIT-Ab)では,PF4-ヘパリン複合体に対する総免疫グロブリン(HIT-IgG/IgA/IgM)を検出する.PF4-ヘパリン複合体マウスモノクローナル抗体が結合したラテックス,抗原となるPF4-ポリビニルスルホン酸複合体(PVS)と,患者検体中にHIT抗体の競合反応を観察する(ラテックス凝集を阻害する検体が陽性).一方,化学発光免疫測定法には2種類あり,HIT-IgG/IgA/IgMを検出する方法(HemosIL® AcuStar HIT-Ab)と,HIT-IgGのみ検出する方法(HemosIL®AcuStar HIT-IgG)がある.ともに2ステップ免疫測定法で,患者検体中のHIT抗体を標識抗体で直接,定量的に検出する.この測定法の差により,HIT抗体の検出に大きな差が生じる.
血栓治療薬として投与される抗凝固薬のヘパリンの副作用には,出血のほかにヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)がある.HITは,手術症例や血栓症発症例へのヘパリン投与後5〜14日頃に,血小板減少や血栓症の発症・増悪によって疑われる.病態の中心となるのが,血小板第4因子(platelet factor 4:PF4)とヘパリンが結合した複合体に対する抗体(HIT抗体)である.保険収載されているHIT抗体検査法は免疫学的測定法で,ラテックス凝集法および化学発光免疫測定法に基づきHIT抗体を検出する1).
ラテックス凝集法(HemoslL® HIT-Ab)では,PF4-ヘパリン複合体に対する総免疫グロブリン(HIT-IgG/IgA/IgM)を検出する.PF4-ヘパリン複合体マウスモノクローナル抗体が結合したラテックス,抗原となるPF4-ポリビニルスルホン酸複合体(PVS)と,患者検体中にHIT抗体の競合反応を観察する(ラテックス凝集を阻害する検体が陽性).一方,化学発光免疫測定法には2種類あり,HIT-IgG/IgA/IgMを検出する方法(HemosIL® AcuStar HIT-Ab)と,HIT-IgGのみ検出する方法(HemosIL®AcuStar HIT-IgG)がある.ともに2ステップ免疫測定法で,患者検体中のHIT抗体を標識抗体で直接,定量的に検出する.この測定法の差により,HIT抗体の検出に大きな差が生じる.
参考文献
1)阪田敏幸:血小板第4因子/ヘパリン複合体抗体測定の新しい流れ.臨病理61:137-143, 2013
2)Althaus K, et al:Evaluation of automated immunoassays in the diagnosis of heparin induced thrombocytopenia. Thromb Res 131:e85-e90, 2013
3)Lee GM, Arepally GM:Heparin-induced thrombocytopenia. Hematology Am Soc Hematol Educ Program 2013:668-674, 2013
4)Raschke RA, et al:Improving clinical interpretation of the anti-platelet factor 4/heparin enzyme-linked immunosorbent assay for the diagnosis of heparin-induced thrombocytopenia through the use of receiver operating characteristic analysis, stratum-specific likelihood ratios, and Bayes theorem. Chest 144:1269-1275, 2013
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