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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液生化学検査など 蛋白
Bence Jones蛋白
著者: 藤田清貴1
所属機関: 1群馬パース大学保健科学部検査技術学科
ページ範囲:P.144 - P.146
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Bence Jones蛋白(BJP)は,免疫グロブリンの遊離のL鎖が単一クローン性に出現したものであり,56〜60℃の熱処理で混濁し,100℃付近で再溶解する特異な熱凝固性を示す蛋白質をいう.L鎖は分子量が約22,000であるが,BJPのほとんどは二量体として合成・分泌され,単量体や稀に四量体のものも存在する.四量体のものは腎糸球体膜を通過しにくいが,それ以外は分子量が小さいので尿中に排出されやすい.
尿中BJPの定性法としてPutnum法が用いられているが,この方法はBJPの等電点が酸性側に多いことから,尿を酸性(pH 4.9)下で熱試験を行う.しかし,BJPの等電点には多様性があり,またBJP以外のほかの蛋白成分の混在などにより判定が困難になる場合が少なくない.BJPの同定法としては免疫電気泳動法,免疫固定電気泳動法のような免疫学的な方法がより確実である.BJPの場合,IgG,IgA,IgM,IgD,IgEの各H鎖特異抗血清とはまったく反応せず,L鎖の抗κまたは抗λ鎖抗血清のどちらか一方とのみ反応するM蛋白として観察される(図1).
Bence Jones蛋白(BJP)は,免疫グロブリンの遊離のL鎖が単一クローン性に出現したものであり,56〜60℃の熱処理で混濁し,100℃付近で再溶解する特異な熱凝固性を示す蛋白質をいう.L鎖は分子量が約22,000であるが,BJPのほとんどは二量体として合成・分泌され,単量体や稀に四量体のものも存在する.四量体のものは腎糸球体膜を通過しにくいが,それ以外は分子量が小さいので尿中に排出されやすい.
尿中BJPの定性法としてPutnum法が用いられているが,この方法はBJPの等電点が酸性側に多いことから,尿を酸性(pH 4.9)下で熱試験を行う.しかし,BJPの等電点には多様性があり,またBJP以外のほかの蛋白成分の混在などにより判定が困難になる場合が少なくない.BJPの同定法としては免疫電気泳動法,免疫固定電気泳動法のような免疫学的な方法がより確実である.BJPの場合,IgG,IgA,IgM,IgD,IgEの各H鎖特異抗血清とはまったく反応せず,L鎖の抗κまたは抗λ鎖抗血清のどちらか一方とのみ反応するM蛋白として観察される(図1).
参考文献
1)藤田清貴:臨床検査で遭遇する異常蛋白質,医歯薬出版,2010
2)北林 淳,他:Plasma cell dyscrasia患者における高分子Bence Jones proteinの腎糸球体への沈着.臨血41:341-346, 2000
3)藤田清貴:異常蛋白の解析.生物試料分析24:203-210, 2001
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