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文献詳細

雑誌文献

medicina52巻4号

2015年04月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液生化学検査など 蛋白

免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比

著者: 増田亜希子1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.148 - P.149

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検査の概要
 形質細胞はBリンパ球がさらに分化した細胞であり,免疫グロブリンを産生する.形質細胞内ではH鎖とL鎖が別々に産生され,これらが結合して完全型免疫グロブリン(IgG,IgAなど)となり,細胞表面から分泌される.形質細胞内ではH鎖よりもL鎖のほうが多く産生されるため,血中にはH鎖と結合していないL鎖が少量存在している.H鎖と結合していないL鎖を遊離L鎖(free light chain:FLC)と呼ぶ.
 免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比(free light chain ratio:rFLC)は,ネフェロメトリー法により血清中の遊離κ鎖およびλ鎖を測定し,κ/λ比を算出する検査である.多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)などの形質細胞腫瘍の場合,遊離κ鎖もしくはλ鎖どちらか一方が増加するため,κ/λ鎖比が大きく変化する.一方,感染症や自己免疫疾患などの場合,κ/λ鎖比はほとんど変化せず基準値内に収まる1).rFLC測定は,従来から用いられている免疫電気泳動や免疫固定法に比べて高感度のM蛋白検出法であり,高免疫グロブリン血症の鑑別診断や,形質細胞腫瘍の診断,予後予測,治療効果判定などに用いられる.

参考文献

1)増田亜希子:臨床医からの質問に答える─免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比の意義を教えてください.検と技41:771-775, 2013
2)島崎千尋:血清遊離軽鎖測定導入による多発性骨髄腫診療の進歩.臨床血液51:171-178, 2010
3)日本骨髄腫学会(編):多発性骨髄腫の診療指針,第3版,pp 6-16,文光堂,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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