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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液生化学検査など 炎症マーカー,感染マーカー

エンドトキシン

著者: 遠藤重厚1

所属機関: 1岩手医科大学医学部救急医学

ページ範囲:P.168 - P.169

検査の概要
 エンドトキシン(lipopolysaccharide:LPS)はグラム陰性桿菌性敗血症の病態生理学における一次性誘発物質である.したがって,エンドトキシンは重要なモニタリング指標とみなされる.
 エンドトキシン定量法として知られるリムルステストの名はアメリカ産カブトガニの学名Limulus polyphemusから由来している.このテストは,カブトガニ血球が微量のエンドトキシンで凝固する現象が契機となり開発された1).カブトガニ血球の抽出液(ライセート)に存在するC因子がエンドトキシンの受容体であり,これは哺乳動物の補体のC1sやC1qとの構造類似性が明らかにされている.エンドトキシンと結合するC因子は活性化C因子となる.活性化C因子はB因子を活性化し,活性化B因子は凝固酵素前駆体に作用して凝固酵素に変換する.これが,コアグローゲン(哺乳類のフィブリノーゲンに相当)に作用し,不溶性のコアグリン(フィブリンに相当)を形成する.これがリムルステストのゲル化法と呼ばれるもので,開発当初から敗血症患者の血中エンドトキシンの定量法として用いられるようになった.

参考文献

1)Levin J, Bang FB:The role of endotoxin in the extracellular coagulation of Limulus blood. Bull Johns Hopkins Hosp 115:265-274, 1976
2)Moore FA, et al:Gut bacterial translation via the portal vein;A clinical perspective with major torso trauma. J Trauma 31:629-638, 1991
3)八重樫泰法,他:血漿高感度エンドトキシン測定法について.エンドトキシン血症救命治療研究会誌7:25-28, 2003

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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