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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液生化学検査など 酵素,肝機能検査

AST(GOT),ALT(GPT)

著者: 野村文夫1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学

ページ範囲:P.195 - P.196

検査の概要
 aspartate aminotransferase(AST)とalanine aminotransferase(ALT)は,それぞれaspartic acidとalanineのα-アミノ基をケトグルタール酸のα-ケト基に転移する酵素であり,トランスアミナーゼと総称される.以前はASTはGOT,ALTはGPTと呼ばれていた.
 両酵素ともきわめて多くの臓器に存在するが,組織中のAST濃度が最も高いのは肝臓であり,次いで心臓,骨格筋,腎,脳,膵,肺,白血球,赤血球の順である.ALT濃度も肝臓で最も高く,肝特異性はALTのほうがASTよりも高い.肝胆道疾患のスクリーニングや経過観察の目的で用いられることが多いが,特にASTは心疾患,筋疾患,溶血性疾患においても上昇する.ASTは肝細胞では細胞質(sAST)とミトコンドリア(mAST)に存在する.健常人血中では大部分がsASTであり,通常はmASTが上昇するのは重度の肝障害の場合である.

参考文献

1)Prati D, et al:Updated definitions of healthy ranges for serum alanine aminotransferase levels. Ann Int Med 137:1-9, 2002
2)小谷一夫,他:日本臨床化学会(JSCC)常用基準法に基づいたaspartate aminotransferase(AST)/alanine aminotransferase(ALT)比の再設定─Karmen法からJSCC常用基準法への変更に伴う肝疾患評価基準の変化.日消誌91:154-161, 1994
3)熊田 卓,他:AST,ALT,AST/ALT.肝胆膵60:521-530, 2010

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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