文献詳細
文献概要
増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液生化学検査など 酵素,肝機能検査
心筋マーカー—心筋型脂肪酸結合蛋白,ミオグロビン,トロポニンT,トロポニンⅠ,ミオシン軽鎖
著者: 石井潤一1
所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部臨床検査科
ページ範囲:P.216 - P.218
文献購入ページに移動検査の概要
心筋傷害(壊死)という病態を反映する心筋マーカーには,心筋型脂肪酸結合蛋白,ミオグロビン,心筋トロポニン(ⅠおよびT)やミオシン軽鎖などがある.心筋マーカーは,急性心筋梗塞の早期診断,梗塞サイズの評価や予後の推定などに用いられる.特に,トロポニンは,急性冠症候群疑い患者における急性心筋梗塞の早期診断とリスク層別化に不可欠な検査項目である.
2009年7月に,トロポニンの最小検出感度を従来(標準)測定より10倍以上改善した高感度測定が登場した.高感度測定はトロポニン値の低濃度域を正確に測定できるため,急性心筋梗塞の基準値(健常者の99パーセントタイル値)を引き下げ,急性心筋梗塞発症早期の診断感度を大幅に改善した.一方,急性冠症候群以外の病態に起因する心筋傷害をも鋭敏に検出するため,診断特異度は著しく低下した.したがって,高感度測定値を解釈する際には従来測定値以上に,トロポニン値の上昇(異常)は心筋傷害の存在を意味するが,必ずしも急性心筋梗塞ではないことを銘記しておく必要がある.
心筋傷害(壊死)という病態を反映する心筋マーカーには,心筋型脂肪酸結合蛋白,ミオグロビン,心筋トロポニン(ⅠおよびT)やミオシン軽鎖などがある.心筋マーカーは,急性心筋梗塞の早期診断,梗塞サイズの評価や予後の推定などに用いられる.特に,トロポニンは,急性冠症候群疑い患者における急性心筋梗塞の早期診断とリスク層別化に不可欠な検査項目である.
2009年7月に,トロポニンの最小検出感度を従来(標準)測定より10倍以上改善した高感度測定が登場した.高感度測定はトロポニン値の低濃度域を正確に測定できるため,急性心筋梗塞の基準値(健常者の99パーセントタイル値)を引き下げ,急性心筋梗塞発症早期の診断感度を大幅に改善した.一方,急性冠症候群以外の病態に起因する心筋傷害をも鋭敏に検出するため,診断特異度は著しく低下した.したがって,高感度測定値を解釈する際には従来測定値以上に,トロポニン値の上昇(異常)は心筋傷害の存在を意味するが,必ずしも急性心筋梗塞ではないことを銘記しておく必要がある.
参考文献
1)石井潤一:とても怖い心臓病─ACSの診断と治療生化学検査.臨検12:1646-1653, 2014
2)栗原 理,他:心筋型脂肪酸結合蛋白,ミオグロビン,トロポニンT,ミオシン軽鎖.medicina 47(増):174-176, 2010
3)Joint ESC/ACC Committee:Myocardial infarction redefined. J Am Coll Cardiol 36:959-969, 2000
掲載誌情報