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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液生化学検査など 酵素,肝機能検査

ADA(アデノシンデアミナーゼ)

著者: 涌井昌俊1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.226 - P.227

検査の概要
 アデノシンデアミナーゼ(ADA)は核酸代謝におけるアデノシンからイノシンへの脱アミノ反応を触媒する酵素で,プリンのサルベージ代謝経路に関与する1).ADA1とADA2の2種のアイソザイムがあり,ADA1はさまざまな組織に,ADA2は主に単球・マクロファージおよび一部のT細胞に発現している.血中のADA活性は,これらのアイソザイムの組織・細胞からの逸脱・放出に由来するが,大半はADA2である.
 ADA1は分子量40kDaのADA-Sと分子量280kDaのADA-Lの2つのフォームがある.ADA-LはADA-Sと結合蛋白の複合体であり,ADA1の大半を占める.その結合蛋白はCD26であることが近年明らかにされ,ADA-Lは酵素活性のみならず,細胞表面上に存在して共刺激分子として作用することが知られており,特に免疫機能に重要である.ADA1をコードするADA遺伝子はヒト20番染色体q12-q13.11領域に位置し,その先天的異常によるADA欠損症は重症複合免疫不全症(SCID)の約20%を占める2).このADA1欠損は,大半がADA2由来である血中ADA活性には反映され難いことに留意する必要がある.

参考文献

1)佐倉伸夫:アデノシンデアミナーゼ(ADA).日臨67:462-465, 2009
2)有賀 正:アデノシンデアミナーゼ欠損症・プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症.小児内科40:1318-1321, 2008
3)Zhou Q, et al:Early-onset stroke and vasculopathy associated with mutations in ADA2. N Engl J Med 370:911-920, 2014

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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