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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液生化学検査など 酵素,肝機能検査

酸性ホスファターゼ(ACP)

著者: 涌井昌俊1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.228 - P.230

検査の概要
 酸性ホスファターゼ(ACP)はリン酸モノエステルの加水分解酵素のうち,至適pHが4.5〜6.0と酸性側にある酵素の総称である.前立腺で大量に生成される前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)が血中のACPの多くを占めている.酵素活性として検出される血中ACPの増加は,前立腺疾患に伴うPAPの逸脱に由来する可能性が示唆される1).しかし,ACPは前立腺以外のさまざまな組織でも生成されており,それらの疾患に伴う逸脱による血中増加の可能性を考慮して鑑別する必要がある.
 PAPの酵素活性は酒石酸により阻害されるが,それ以外のACPの酵素活性は基本的に酒石酸抵抗性を呈する.この差異を利用してPAPを検出・測定することができるが,chemiluminescent enzyme immunoassay(CLEIA)やenzyme immunoassay(EIA)などの免疫学的検査法でも測定可能である.

参考文献

1)Rubenstein M, et al:Review of acid phosphatase in the diagnosis and prognosis of prostatic cancers. Clin Physiol Biochem 6:241-252, 1988
2)楊 鴻生:酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP).日臨62:315-219, 2004
3)岸 浩史,井川幹夫:アシドホスファターゼ(ACP).日臨62:365-367, 2004

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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