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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 血液生化学検査など 脂質・リポ蛋白

総コレステロール,LDLコレステロール,HDLコレステロール

著者: 平山哲1 三井田孝2

所属機関: 1順天堂大学医学部臨床検査医学講座 2順天堂大学大学院臨床病態検査医学

ページ範囲:P.262 - P.264

検査の概要
 総コレステロール(TC)とLDLコレステロール(LDL-C)の上昇,HDLコレステロール(HDL-C)の低下は,動脈硬化性疾患の発症や進展と密接に関係している.よって,これらの検査は,動脈硬化や冠動脈疾患のスクリーニング検査としてだけでなく,病態評価や治療のための臨床検査指標として頻用されている1)
 米国のFramingham studyの報告では,TCが180〜200mg/dLの場合に最も総死亡率が低いJ-curve現象を認める.しかし,コレステロール低値の場合には,低栄養や悪性疾患などによる死亡が影響している可能性がある.一方,TCが180mg/dL以上の場合,冠動脈疾患の発症は直線的に増加する.また,LDL-CもTCと同様に冠動脈疾患のリスクと強く関連する.欧米の報告では,LDL-Cが1mg/dL増加すると,一次および二次予防ともに冠動脈疾患の発症リスクが約1〜2%程度増加する.LDL-Cへの介入効果を検討したメタ解析(108のランダム化比較試験による約30万人が対象)では,治療によるLDL-C 10mg/dLの減少は,冠動脈疾患イベント,冠動脈疾患死亡,総死亡の相対リスクを有意に減少させることが明らかになっている2)

参考文献

1)日本動脈硬化学会(編):動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版,p 22,pp 33-43,pp 81-84,杏林舎,2012
2)Briel M, et al:Association between change in high density lipoprotein cholesterol and cardiovascular disease morbidity and mortality;Systematic review and meta-regression analysis. BMJ 338:522-526, 2009
3)Okamura T, et al:The inverse relationship between serum high-density lipoprotein cholesterol level and all-cause mortality in a 9.6-year follow-up study in the Japanese general population. NIPPON DATA90 Research Group. Atherosclerosis 184:143-150, 2006

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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