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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 薬物関連検査 薬物感受性遺伝子検査,薬剤リンパ球刺激試験

免疫抑制薬関連遺伝学的検査—チトクロームP450(CYP)3A5遺伝子多型検査

著者: 中谷中1

所属機関: 1三重大学医学部附属病院オーダーメイド医療部

ページ範囲:P.321 - P.323

検査の概要
 肝移植,腎移植など臓器移植後には免疫抑制療法が必要であり,免疫抑制薬として,ステロイドに替わりカルシニューリン阻害薬を用いることが中心となってきている.カルシニューリン阻害薬はイムノフィリンに結合して,その複合体がカルシニューリンを阻害する.タクロリムスとシクロスポリンの2剤があるものの,その使い分けは採用されているレジメンや医師の経験に依存することが多い.当院では生体肝移植後の免疫抑制療法にはタクロリムスを用いるレジメンを採用しており,血中トラフ値を10〜15ng/mLに維持するように投与量を調整している.
 ある時,タクロリムス血中濃度が十分に上昇せず,投与量を数倍増量することを余儀なくされる症例が見いだされた.タクロリムスはヒト体内で肝臓や消化管に存在するチトクロームP450(CYP)3A4,CYP3A5,MDRにより代謝・排泄されることが明らかとなっている.CYP3A4,CYP3A5にはそれぞれ遺伝子多型が存在することが知られ,特にCYP3A5がタクロリムスの薬物動態に影響を与えることが報告されている1)

参考文献

1)Daly AK:Significance of the minor cytochrome P4503A isoforms. Clin Pharmacokinet 45:13-31, 2006
2)Lee SJ, et al:Genetic findings and functional studies of human CYP3A5 single nucleotide polymorphisms in different ethnic groups. Pharmacogenetics 13:461-472, 2003
3)西川晃平,他:CYP3A5遺伝子多型が移植後早期のタクロリムス徐放製剤投与量に及ぼす影響.腎移植・血管外24:14-20, 2012

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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