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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 免疫学的検査 自己免疫関連検査
抗Jo-1抗体,抗ARS抗体
著者: 太原恒一郎1 沢田哲治1
所属機関: 1東京医科大学病院リウマチ膠原病内科
ページ範囲:P.414 - P.415
文献購入ページに移動抗Jo-1抗体(多発性筋炎と間質性肺炎を呈した患者名John Pに由来)は,1980年にNishikaiらにより二重免疫拡散法にて同定された多発性筋炎・皮膚筋炎に特異的な自己抗体である.その対応抗原はヒスチジルtRNA合成酵素であり,近年は精製あるいはリコンビナント蛋白質を用いたELISA(酵素免疫測定法)でも測定される.多発性筋炎・皮膚筋炎における抗Jo-1抗体の感度は20〜30%程度であるが,特異度は高く,多発性筋炎・皮膚筋炎の確定診断に有用である.
抗Jo-1抗体よりも低頻度であるが,ほかのアミノアシルtRNA合成酵素に対する自己抗体には抗PL-7(スレオニルtRNA合成酵素),PL-12(アラニルtRNA合成酵素),抗EJ(グリシルtRNA合成酵素),抗OJ(イソロイシルtRNA合成酵素),抗KS(アスパラギニルtRNA合成酵素)などがあり,多発性筋炎・皮膚筋炎に特異的である.これらの抗アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase:ARS)抗体陽性の多発性筋炎・皮膚筋炎には,共通の臨床的特徴として筋炎,間質性肺炎,多関節炎,発熱,Raynaud現象,手指側面の角質化と色素沈着をきたす機械工の手(mechanic's hand)がみられ,抗ARS抗体症候群と呼ばれる.
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