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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 免疫学的検査 自己免疫関連検査
抗好中球細胞質抗体(ANCA)
著者: 大久保光修1 平橋淳一1
所属機関: 1慶應義塾大学病院血液浄化・透析センター
ページ範囲:P.435 - P.437
文献購入ページに移動自己免疫性疾患の患者血清中には自己細胞核や細胞質成分を抗原とする多種類の自己抗体が検出される.一般的に,これらの自己抗体には特定の疾患や病型と密接に関連するものが多く,疾患の診断・病型分類・予後予測・治療効果判定などに有用である.現在では,検査法の進歩によって100種類近くの自己抗体・対応抗原が知られている.
抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)は好中球の細胞質顆粒蛋白に対する自己抗体である.ANCAの産生が亢進している代表的疾患が顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)や多発血管炎性肉芽腫症(granulomatous with polyangiitis:GPA,旧称Wegener肉芽腫症),好酸球性肉芽腫性多発血管炎(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA,旧称Churg-Strauss症候群)をはじめとした自己免疫性血管炎症候群であり,ANCAはその疾患マーカーとして認識されてきた.厚生労働省難治性血管炎調査研究班による血管炎の診断基準にもANCAの測定結果が含まれており,血中ANCA抗体価の測定は血管炎の診断および治療効果判定において重要な意義をもつ.また,ANCAは疾患マーカーであるだけでなく,好中球を異常活性化させる病原性をもつことも動物実験で示されている.
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