icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina52巻4号

2015年04月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 免疫学的検査 自己免疫関連検査

抗好中球細胞質抗体(ANCA)

著者: 大久保光修1 平橋淳一1

所属機関: 1慶應義塾大学病院血液浄化・透析センター

ページ範囲:P.435 - P.437

文献購入ページに移動
検査の概要
 自己免疫性疾患の患者血清中には自己細胞核や細胞質成分を抗原とする多種類の自己抗体が検出される.一般的に,これらの自己抗体には特定の疾患や病型と密接に関連するものが多く,疾患の診断・病型分類・予後予測・治療効果判定などに有用である.現在では,検査法の進歩によって100種類近くの自己抗体・対応抗原が知られている.
 抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)は好中球の細胞質顆粒蛋白に対する自己抗体である.ANCAの産生が亢進している代表的疾患が顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)や多発血管炎性肉芽腫症(granulomatous with polyangiitis:GPA,旧称Wegener肉芽腫症),好酸球性肉芽腫性多発血管炎(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA,旧称Churg-Strauss症候群)をはじめとした自己免疫性血管炎症候群であり,ANCAはその疾患マーカーとして認識されてきた.厚生労働省難治性血管炎調査研究班による血管炎の診断基準にもANCAの測定結果が含まれており,血中ANCA抗体価の測定は血管炎の診断および治療効果判定において重要な意義をもつ.また,ANCAは疾患マーカーであるだけでなく,好中球を異常活性化させる病原性をもつことも動物実験で示されている.

参考文献

1)Pendergraft WF 3rd,et al:Autoimmunity is triggered by cPR-3(105-201),a protein complementary to human autoantigen proteinase-3.Nat Med 10:72-79,2004
2)Nagao T,et al:Direct activation of glomerular endothelial cells by anti-moesin activity of anti-myeloperoxidase antibody.Nephrol Dial Transplant 26:2752-2760,2011
1)尾崎承一,槙野博史(編):ANCA関連血管炎の診療ガイドライン(2014年改訂版),厚生労働省,2014
2)佐田憲映:わが国の血管炎の現状と今後の展望.日腎会誌 56:65-144,2014
3)医学通信社(編):診療点数早見表2014年4月版【医科】,医学通信社,2014
4)矢冨 裕:自己免疫性疾患に関する調査.金井正光(編):臨床検査法提要(改訂第33版),金原出版,pp 819-857,2010
5)尾崎承一:血管炎症候群.矢崎義雄(編):内科学(第10版),pp 1294-1303,朝倉書店,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?