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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 輸血・移植関連検査
HLA系とHLAタイピング
著者: 渡邊直英1 半田誠1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部輸血・細胞療法部
ページ範囲:P.462 - P.463
文献購入ページに移動HLA抗原(human leukocyte antigen:ヒト白血球抗原)は,第6染色体短腕(6p21.3)に存在する主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex:MHC)遺伝子領域内のHLA遺伝子群に支配されている.T細胞への抗原提示機能をもつ分子であり,T細胞はHLA抗原を元に自己と非自己を認識するため,移植免疫の中心的役割を担う.HLA抗原は,白血球をはじめとするほとんどの有核細胞(血小板も含む)に発現するクラスⅠ抗原(HLA-A,B,C抗原)と,主としてB細胞,活性化T細胞,マクロファージなど限られた細胞のみに発現するクラスⅡ抗原(HLA-DR,DQ,DP)に分類される.
これらのHLA抗原は高度の多型を有する細胞膜抗原であり,そのHLA型を同定する検査がHLAタイピングである.HLAタイピングには,血清学的検査,細胞学的検査およびDNAタイピングがある.血清学的検査はHLA-A,B,C,DR,DQ型が同定可能かつ安価なため通常の臓器移植で用いられるが,血清学的に一致したHLAでもDNAレベルでは不一致のことがあり,造血幹細胞移植ではDNAタイピングで適合を評価する.細胞学的検査はHLA-D(HLA-DR,DQ複合体)やHLA-DPのタイピングに用いられるものの,臨床での有用性が低く現在ではほとんど用いられない.血清学的検査は,被験者リンパ球に既知のHLA抗原を認識する抗体を混合し,反応する抗体を特定することで被験者リンパ球のもつHLA抗原を同定するリンパ球細胞毒性試験(lymphocyte cytotoxicity test:LCT)でHLA型が同定される.
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