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雑誌詳細

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 腫瘍マーカー 消化器系

AFP,AFP-L3分画

著者: 佐藤雅哉1 池田均1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学

ページ範囲:P.466 - P.468

検査の概要
 厚生労働省診療ガイドライン支援事業によりまとめられた「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン」1)では,B型慢性肝炎,C型慢性肝炎,肝硬変のいずれかを肝癌の高危険群,そのなかでもB型肝硬変,C型肝硬変患者は超危険群と設定し,肝癌サーベイランスの対象としている.このサーベイランスの基本となるのが肝腫瘍マーカーと画像検索であり,危険群に対しては6カ月ごと,超危険群に対しては3〜4カ月ごとの腫瘍マーカーの測定が推奨されており,特に肥満や肝萎縮などで腹部エコーでのスクリーニングが困難な症例においての有用性が報告されている2)
 肝癌における代表的な腫瘍マーカーであるAFP(α-fetoprotein)は肝癌患者において上昇することが知られているが,問題点として急性肝炎や慢性肝炎,肝硬変で,肝細胞の壊死が強い時にも上昇し,特異性に欠けることが挙げられる.そこで,特にAFPが軽度高値であった場合には特異度を向上させる目的でAFP分画の測定が有用である.

参考文献

1)日本肝臓学会(編):科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン2009年版,金原出版,2009
2)Mikami S, et al:Tumor markers are more useful in patients undergoing surveillance for hepatocellular carcinoma with unreliable results by ultrasonography. Hepatol Res, 2014(in press)
3)日本肝癌研究会追跡調査委員会:第18回全国原発性肝癌追跡調査報告(2004〜2005).肝臓51:460-484, 2010
4)Oka H, et al:Prospective study of alpha-fetoprotein in cirrhotic patients monitored for development of hepatocellular carcinoma. Hepatology 19:61-66, 1994
5)Shiina S, et al:Ratiofrequency ablation for hepatocellular carcinoma;10-year outcome and prognostic factors. Am J Gastrotenterol 107:569-577, 2012

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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