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文献詳細

雑誌文献

medicina52巻4号

2015年04月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 腫瘍マーカー 乳腺・婦人科系

CA125,CA130,CA602

著者: 長阪一憲1 矢野哲2

所属機関: 1東京大学医学部附属病院産婦人科 2国立国際医療研究センター産婦人科

ページ範囲:P.484 - P.485

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検査の概要
 CA125,CA130,CA602は,腫瘍マーカーとして特に卵巣癌の診断に広く利用されている.いずれも糖鎖抗原関連腫瘍マーカーとして血中で測定ができるコア蛋白関連抗原である.糖鎖抗原関連腫瘍マーカーは,糖蛋白の構造別にコア蛋白,母核糖鎖,基幹糖鎖,糖転移酵素,修飾構造(末端糖)に分類され,抗原抗体反応で認識できるモノクローナル抗体によって測定される.
 CA125は,1981年にBastらが卵巣漿液性腺癌から樹立したOVCA433培養細胞系を用いて作製したモノクローナル抗体OC-125によって認識される糖鎖抗原であり1),実際には精度を上げるため,OC-125抗体とは異なるCA125上のエピトープを認識するモノクローナル抗体M11と組み合わせて測定される.またCA130は,肺腺癌細胞株PC-9を用いて作製したモノクローナル抗体130-22と145-9により認識される糖鎖抗原である2).CA602は,卵巣明細胞腺癌細胞株RMG-Ⅱを用いて作製したモノクローナル抗体MA602-1,MA602-2により認識される糖鎖抗原である3).これらCA125,CA602,CA130のエピトープは,それぞれMUC16と呼ばれる膜結合型ムチン表面にあり,3者の測定値はよく相関する.そのため,臨床的にこれらを同時に測定する意義は少ないとされる.

参考文献

1)Bast RC Jr, Spriggs DR:More than a biomarker;CA125 may contribute to ovarian cancer pathogenesis. Gynecol Oncol 121:429-430, 2011
2)Kobayashi H, et al:Characterisation and clinical usefulness of CA130 antigen recognised by monoclonal antibodies, 130-22 and 145-9, in ovarian cancers. Br J Cancer 67:237-243, 1993
3)Nozawa S, et al:A new CA125-like antigen(CA602)recognized by two monoclonal antibodies against anewly established ovarian clear cellcarcinoma cell line(RMG-Ⅱ). Jpn J Cancer Res 82:854-861, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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