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文献詳細

雑誌文献

medicina52巻4号

2015年04月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 腫瘍マーカー 非特異マーカー

抗p53抗体

著者: 船橋公彦1 谷島聡1 島田英昭1

所属機関: 1東邦大学外科学講座一般・消化器外科

ページ範囲:P.498 - P.499

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検査の概要
 固形癌の過半数では,癌抑制遺伝子であるp53遺伝子の異常があり,変異型のp53蛋白を発現している.この変異型p53蛋白に対して,癌患者血清中には抗p53 IgG抗体が出現する.p53抗体検査はこのIgG抗体を検出する検査法である.抗原抗体反応を利用しているため,比較的早期の癌であっても陽性となり,従来の分泌型腫瘍マーカーであるCEAやCA19-9などと比較して診断上の有用性が高い.
 従来の腫瘍マーカーと相関関係がないため,両者を併用することで陽性率が高くなる.また,微少残存腫瘍抗原を反映するため,化学療法や手術の前後での変化をモニタリングすることで,治療効果や再発のリスクを評価することができる.手術後に抗体が陰性化しない場合には癌細胞遺残のリスクがある.年齢・性別・炎症などでほとんど影響を受けず,日内変動もない.通常のIgG抗体の半減期は30日前後とされているが,抗p53抗体では,再発のない治癒切除症例においても半減期は2カ月以上のことが多い.

参考文献

1)Shimada H, et al:Titration of serum p53 antibodies in 1085 patients with various types of malignant tumors;A multiinstitutional analysis by the Japan p53 Antibody Research Group. Cancer 97:682-689, 2003
2)Shimada H, et al:Serum p53 antibody is a useful tumor marker in the patients with superficial esophageal cancer. Cancer 89:1677-1683, 2000
3)Shimada H, et al:Perioperative changes of serum p53 antibody titer is a predictor for survival in patients with esophageal squamous cell carcinoma. World J Surg 33:272-277, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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