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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集 微生物学的検査 細菌同定検査
髄液の微生物学的検査
著者: 大楠清文1
所属機関: 1東京医科大学微生物学分野
ページ範囲:P.514 - P.517
文献購入ページに移動検査の概要,異常を示す疾患・病態
髄液の微生物学的な検査は髄膜炎,脳炎,脳膿瘍などの中枢神経系感染症の診断と治療に必須である.髄膜炎は発熱,頭痛または意識障害,項部硬直を主徴とする緊急疾患であるため,迅速な起炎菌診断と抗菌薬治療の開始が重要である.臨床症状と診察所見から髄膜炎が疑われるときは頭部CTやMRI撮影で脳内占拠性病変がないことを確認し,髄液を採取して直ちに髄液検査を行い,可及的速やかに治療を開始する.細菌性髄膜炎を疑ったときの髄液穿刺から検査のフローチャートを図1に示した.さらに,日常検査における髄液の細菌学的な検査の具体的な手順1)を図2に示す.
髄液の塗抹および培養検査はその採取量(検査に用いる量)が多いほど,そして遠心分離を行った後に沈渣を用いると検出感度が高くなる.沈渣のグラム染色像と免疫学的な抗原検査の併用によって,1時間以内に起炎菌の推定が可能である.免疫学的な抗原検査として現在,市販されているPASTOREX MENINGITIS®(バイオ・ラッド ラボラトリー社)は,肺炎球菌,B群連鎖球菌(GBS),インフルエンザ菌b型(Hib),髄膜炎菌A,B,C,YおよびW135群,大腸菌(K1抗原陽性)を対象としており,抗菌薬先行投与後の培養陰性の場合にも有用性が高い.
髄液の微生物学的な検査は髄膜炎,脳炎,脳膿瘍などの中枢神経系感染症の診断と治療に必須である.髄膜炎は発熱,頭痛または意識障害,項部硬直を主徴とする緊急疾患であるため,迅速な起炎菌診断と抗菌薬治療の開始が重要である.臨床症状と診察所見から髄膜炎が疑われるときは頭部CTやMRI撮影で脳内占拠性病変がないことを確認し,髄液を採取して直ちに髄液検査を行い,可及的速やかに治療を開始する.細菌性髄膜炎を疑ったときの髄液穿刺から検査のフローチャートを図1に示した.さらに,日常検査における髄液の細菌学的な検査の具体的な手順1)を図2に示す.
髄液の塗抹および培養検査はその採取量(検査に用いる量)が多いほど,そして遠心分離を行った後に沈渣を用いると検出感度が高くなる.沈渣のグラム染色像と免疫学的な抗原検査の併用によって,1時間以内に起炎菌の推定が可能である.免疫学的な抗原検査として現在,市販されているPASTOREX MENINGITIS®(バイオ・ラッド ラボラトリー社)は,肺炎球菌,B群連鎖球菌(GBS),インフルエンザ菌b型(Hib),髄膜炎菌A,B,C,YおよびW135群,大腸菌(K1抗原陽性)を対象としており,抗菌薬先行投与後の培養陰性の場合にも有用性が高い.
参考文献
1)中村 明:微生物培養検査のサンプリング─無菌であるべき検体:髄液.臨床検査44:491-494, 2000
2)青木 眞:レジデントのための感染症診療マニュアル,医学書院,2008
3)酒見英太(監),上田剛士(著):ジェネラリストのための内科診断リファレンス,医学書院
4)大楠清文:感染症診断における遺伝子解析技術の適応 日臨微生物誌18:162-175, 2008
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