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連載 西方見聞録・18
“The emperor of all maladies”
著者: 山口典宏1
所属機関: 1マウントサイナイベスイスラエル病院内科
ページ範囲:P.1210 - P.1211
文献購入ページに移動11年前の春,医学生だった私は3カ月の臨床実習のためにボストンにやってきて,自分の英語がまったく通じないことに戦々恐々としていました.そしてマサチューセッツ総合病院血液腫瘍内科での実習が始まり,「同じ外国人だからうまくいくかもな」と血液腫瘍内科の教授が紹介してくれた指導医が,Siddhartha Mukherjee(シッダールタ・ムカジー)というインド系の臨床フェローでした.
彼はインドで生まれ,大学以降は英国と米国で教育を受けましたが,かなり訛りのある英語を話していたので,他の医師から聞き返されたり,彼が聞き返したりすることは日常茶飯事でした.昼のカンファレンスでのケータリングはフェローが持ち回りで用意するのですが,彼が担当の時はいつもカレーで,周りからは聞こえるような声で「またカレーかよ!」と文句を言われていました.もっとも,私にとっては米が食べられる貴重な機会で,広い意味でのアジア文化を彼と共有していました.
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