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特集 超高齢時代の内科診療
扉
著者: 福原俊一1
所属機関: 1京都大学医学研究科 医療疫学分野
ページ範囲:P.1497 - P.1497
文献購入ページに移動 医療のお客様は患者である.さらに,人は必ず病気になる存在とすれば,すべての国民が医療の対象である.医療は特殊ではあるものの,サービスの一種である.顧客のニーズを無視してサービスを提供するわけにはいかない.では,現在そして近未来の医療へのニーズはいかなるものであろうか? 言い古されているようだが,それは超高齢社会という人類が未だ経験していない未曾有の状況であり,わが国が世界に先駆けてこれを迎えようとしていることから生じる新しいニーズである.どの病院の患者も大半が75歳以上であり,地域住民全体でも現在15%で,この割合は確実に,そして急速に増えていく.
ニーズの変化は新しいゴールを必要とする.これまでの医療のゴールは「病気をいち早く発見し,これを根治する」という単純なものであった.しかし,超高齢患者の医療のゴールはより複雑である.誰もが人並みの寿命を全うしたいと願っているが,それ以上となると,長生きするよりも認知症や寝たきりにならないことにより高い優先順位を置く患者のほうが多いかもしれない.一言で言えば,「長寿よりもQOL」に価値を置く患者が増えていると言えよう.
ニーズの変化は新しいゴールを必要とする.これまでの医療のゴールは「病気をいち早く発見し,これを根治する」という単純なものであった.しかし,超高齢患者の医療のゴールはより複雑である.誰もが人並みの寿命を全うしたいと願っているが,それ以上となると,長生きするよりも認知症や寝たきりにならないことにより高い優先順位を置く患者のほうが多いかもしれない.一言で言えば,「長寿よりもQOL」に価値を置く患者が増えていると言えよう.
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