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文献概要
特集 主治医として診る高血圧診療 再診診療と血圧測定
関連トピックス 時計生物学と高血圧治療
著者: 錦戸利幸1 野出孝一1
所属機関: 1佐賀大学医学部循環器内科
ページ範囲:P.1732 - P.1732
文献購入ページに移動 時計生物学とは継時的に変化する生体リズムを研究する学問で,体内時計の乱れが健康に影響を及ぼすことから,医学分野に取り入れて病気の予防や治療に応用しようとする取り組みがなされている.体内時計とは,時計遺伝子群の転写活性がフィードバックループ機構を介した分子メカニズムによって,約24時間周期の変動で生み出される恒常環境下での概日リズムのことである.この概日リズムは生命活動を維持するための適応機構であり,血圧・心拍数・睡眠・覚醒・体温・摂食行動・ホルモン分泌などさまざまな循環動態や代謝機能において認められる.
現代社会はシフトワーク,夜更かし,光環境の変化など概日リズムを攪乱させやすい環境にあるため,そのなかでの生活リズムの乱れが高血圧症の発症や進展の要因となっている可能性も懸念される.また,生体機能の概日リズムを考慮した時間薬物治療(chemotherapy)の有効性が示されており,血圧に対しても日内変動を踏まえた時間降圧療法として応用されている.例えば脳・心血管イベントの起きやすい早朝高血圧に対しては朝1回服用から夜〜就寝前服用へと服用方法を変更して血圧変動を是正することでイベントの抑制効果が期待される.
現代社会はシフトワーク,夜更かし,光環境の変化など概日リズムを攪乱させやすい環境にあるため,そのなかでの生活リズムの乱れが高血圧症の発症や進展の要因となっている可能性も懸念される.また,生体機能の概日リズムを考慮した時間薬物治療(chemotherapy)の有効性が示されており,血圧に対しても日内変動を踏まえた時間降圧療法として応用されている.例えば脳・心血管イベントの起きやすい早朝高血圧に対しては朝1回服用から夜〜就寝前服用へと服用方法を変更して血圧変動を是正することでイベントの抑制効果が期待される.
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