文献詳細
特集 主治医として診る高血圧診療
血液,尿検査はどれくらいの頻度で何を診るべきか
関連トピックス レニン-アンジオテンシン系の最近のトピックス
著者: 茂木正樹1
所属機関: 1愛媛大学大学院医学系研究科分子心血管生物・薬理学
ページ範囲:P.1748 - P.1748
文献概要
血圧や生活習慣病に密接に影響するRASは基礎研究より臓器障害に深く関与することが知られているが,実際の高血圧臨床において,目の前の患者にRASがどれほど関与しているかの判断は難しい.RAS阻害薬を投与し,レスポンスの早い降圧効果や臓器障害の長期的な抑制効果が認められた際にはRASの関与を実感するかもしれない.また,動脈硬化や心肥大など,高血圧性臓器障害が比較的強い患者ではRASの亢進が疑われる.さらに,微小血管の内皮細胞におけるインスリン抵抗性の存在は,内皮細胞の一酸化窒素(NO)誘導性の血管拡張機能を低下させるが,その作用にRASの活性化によるインスリン受容体のリン酸化の関与が示唆される1).インスリン抵抗性があり脈波伝播速度が高い患者ではRASが亢進している可能性が高いと考えられる.
RAS阻害薬既服薬者では,血中RASの測定は休薬して検討することも実際には難しいことに加え,二次性高血圧症のスクリーニングを除くと本態性高血圧患者における血中RASレベルをRAS活性化の指標とするのは難しいと考えられる.
参考文献
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