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書評
—青笹克之,菅野祐幸 総編集—臨床病理検討会の進め方・活かし方—CPCの作法
著者: 山本一博1
所属機関: 1鳥取大学医学部病態情報内科
ページ範囲:P.1955 - P.1955
文献購入ページに移動 病理解剖は,患者さんの生前に我々臨床医が把握しきれなかった情報を提供してくれる,つまり我々に勉強をさせてくれる大切な機会であります.しかしながら,近年は以前に比べ剖検数が減少しています.この背景には超音波,CT,MRI,核医学など画像診断法が進歩し,多くの情報を非侵襲的に得ることができるようになった医療の発展があります.以前であれば剖検をするまでわからなかった点が,今ではこれら非侵襲的画像診断法を用いることで診断できるようになっていることは少なくありません.しかしながら,これら画像診断法を用いてもわからないから仕方ない,と思いこんでいることに病理解剖は今でも大いなる示唆を与えてくれます.私の専門である心不全領域を例に挙げると,最近になって,病態に不明な点が多いとされる左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)においてTTRアミロイドの沈着が病態に寄与している可能性が剖検結果から示されています.現代の画像診断法をもってしても組織レベルの情報は十分に得ることができておらず,剖検の重要性を改めて認識した次第です.ただし,単に剖検を行えば新しい知見が得られるのではなく,臨床医,病理医が幅広い知識をもってCPCに参加し,問題意識を共有したうえでフォーカスを絞って議論することで,はじめて病態の理解をさらに深めることができるものと思います.
本書は日常診療で遭遇することの多い症候ごとに複数の症例を提示し“紙上CPC”を展開するユニークな構成となっています.症例毎に臨床経過,受け持ち医の立場からみた疑問点をあげ,剖検結果をもとに病理医がこれに対する回答を出し,かつその根拠が科学的に解説されています.つまり,理想的なCPCの運営例がここに示されています.また各症例に関連するself-assessment questionを設け,読者が能動的に勉強できる工夫もなされています.
本書は日常診療で遭遇することの多い症候ごとに複数の症例を提示し“紙上CPC”を展開するユニークな構成となっています.症例毎に臨床経過,受け持ち医の立場からみた疑問点をあげ,剖検結果をもとに病理医がこれに対する回答を出し,かつその根拠が科学的に解説されています.つまり,理想的なCPCの運営例がここに示されています.また各症例に関連するself-assessment questionを設け,読者が能動的に勉強できる工夫もなされています.
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