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文献詳細

雑誌文献

medicina53巻13号

2016年12月発行

文献概要

特集 内分泌疾患を診きわめる 下垂体疾患 ホルモン欠乏症 【下垂体前葉機能低下症】

リンパ球性下垂体炎

著者: 片上秀喜1

所属機関: 1甲南加古川病院内科

ページ範囲:P.2122 - P.2128

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ポイント
●リンパ球性下垂体炎は病理学的診断名で,原発性の細胞浸潤の生じる部位により,前葉炎,漏斗下垂体神経葉炎(後葉炎),ならびに汎下垂体炎に分類定義される.
●典型的には前葉炎は周産期の女性に好発する.最近は,免疫チェックポイント阻害薬の使用後に前葉炎(IRH)が高頻度で発症することも知られており,使用前より下垂体ホルモンや甲状腺ホルモンを予め測定しておく.
●経過中に,下垂体─視床下部の腫大,前葉機能低下症や中枢性尿崩症をきたし,後年,ACTH単独欠損症,特発性中枢性尿崩症やempty sellaに移行することもある.
●治療法は確立されていないが,症状が強い際には薬理量のステロイドを投与する.改善しない場合や急速な腫瘤増大をきたす場合には,生検をかねて下垂体手術を行う.

参考文献

1)片上秀喜:リンパ球性下垂体炎.成瀬光栄,他(編):内分泌代謝専門医ガイドブック,改訂第4版,pp 135-140,診断と治療社,2016
2)Joshi MN, et al:Immune checkpoint inhibitor-related hypophysitis and endocrine dysfunction;Clinical review. Clin Endocrinol(Oxf)85:331-339, 2016
3)厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班:自己免疫性視床下部下垂体炎の診断と治療の手引き(平成21年度改訂) http://square.umin.ac.jp/kasuitai/doctor/guidance/jiko_meneki.pdf(2016年10月閲覧)
4)厚生労働省 難治性疾患克服研究事業 奨励研究分野IgG4関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究班,他:IgG4関連疾患包括診断基準2011,日内会誌101:795-804, 2011
5)Leporati P, et al:IgG4-related hypophysitis;A new addition to the hypophysitis spectrum. J Clin Endocrinol Metab 96:1971-1980, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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