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書評
—松村理司 監修 酒見英太 編 京都GIMカンファレンス 執筆—診断力強化トレーニング2—What's your diagnosis? フリーアクセス
著者: 清田雅智1
所属機関: 1飯塚病院総合診療科診療部
ページ範囲:P.624 - P.624
文献購入ページに移動熟練者の思考プロセスを敷衍することが,臨床教育上最も重要であり,そのシラバスとして前書と本書が存在していると私は考えている.通常の診療をしていても,おそらく10年に1回程度しか経験しない症例から臨床上の深い知恵が生まれるが,その経験には時間と空間を必要とする.この本は実は時間を買っているのである.clinician educatorを目指す医師はcover to coverで熟読すべき必携の本であろう.編集者である酒見英太先生が発案されたClues,Red Herring,Clincher,Clinical Pearlsという,前書から引き継がれている体裁にこの本の深みを感じ取るヒントがある.病歴と身体所見,付け加えられる検査所見(病歴と身体所見があくまで情報の中心というコンセプトは随所に垣間見られる)を同じように見せられても,初学者と熟練者では見ているところが異なることに気付かない.適切な指南者がいて症例から学ぶべき道筋が得られるものであり,それがこの体裁に現れている.ともすると堅苦しくなりがちなケースカンファレンスを,その強引とも言えるタイトル命名!(この辺りは関西人の発想であろう)とその種明かしというオブラートで楽しく包んでいる.
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