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文献詳細

雑誌文献

medicina53巻7号

2016年06月発行

文献概要

特集 抗菌薬の考え方,使い方—ホントのところを聞いてみました 性器感染症

前立腺炎

著者: 月森彩加1 中村造1

所属機関: 1東京医科大学病院感染制御部

ページ範囲:P.1011 - P.1013

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Question 1
前立腺への移行性のよい抗菌薬は?
 移行性のよい抗菌薬は以下のものが挙げられます.
 ① レボフロキサシン
 ② スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST合剤)
 ③ ピペラシリン
 ④ 第2〜3世代セフェム
 ⑤ メロペネム,イミペネム・シラスタチン
 ⑥ アズトレオナム
 ⑦ アミノグリコシド
 ⑧ テトラサイクリン
 ⑨ マクロライド
 前立腺炎では前立腺の構造や毛細血管,前立腺液のさまざまな要素によって抗菌薬が浸透しにくく,移行性のよい抗菌薬を選択する必要があります.また,慢性前立腺炎などの炎症が少ない前立腺に移行する抗菌薬は多くありません.前立腺への移行がよい抗菌薬とは,高い解離定数でイオン化の低い抗菌薬で,蛋白結合しておらず,分子量も小さい,脂溶性が高い,などの特徴があればよいとされています.その代表はレボフロキサシンなどのフルオロキノロンやST合剤です.前立腺組織内では血漿よりも高い濃度を示し,前立腺炎に有効です.フルオロキノロン,ST合剤が用いられる理由としてはもう1つ,バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)がよいため経口での抗菌薬治療が可能なのです.

参考文献

1)Lipsky BA, et al:Treatment of bacterial prostatitis. Clin Infect Dis 50:1641-1652, 2010
2)Yoon BI, et al:Clinical courses following acute bacterial prostatitis. Prostate Int 1:89-93, 2013
3)Wise GJ, Shteynshlyuger A:Atypical infections of the prostate. Curr Prostate Rep 6:86-93, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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