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文献詳細

雑誌文献

medicina53巻7号

2016年06月発行

文献概要

特集 抗菌薬の考え方,使い方—ホントのところを聞いてみました 消化管感染症

胃腸炎

著者: 法月正太郎1

所属機関: 1自治医科大学附属病院感染症科

ページ範囲:P.1018 - P.1021

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Question 1
嘔吐や下痢で患者さんが来院したら,とりあえず胃腸炎の診断でホスホマイシンとビオフェルミン®とムコスタ®を出しています.重症の場合はホスホマイシンの点滴静注を行っています.これでよいのでしょうか? 問題があるとしたらどの部分ですか? ホントのところを教えてください.
胃腸炎を診断する難しさ
 筆者は「胃腸炎」という言葉が大嫌いである.一般的には急性発症の嘔吐・下痢症のことを胃腸炎と呼ぶことが多い.最も頻度が高いのがウイルス性胃腸炎であり,急性下痢症±嘔気嘔吐・腹痛をきたし,対症療法のみで48時間以内に改善する.たとえ忙しい外来であっても,主訴から安易に「胃腸炎」と決めつける前に,立ち止まって考える必要がある.図1に胃腸炎の鑑別診断を挙げた.これらの鑑別を頭に浮かべながら,病歴と身体所見から的確に鑑別しなければならない.敗血症,髄膜炎,脳膿瘍,トキシックショック症候群,重症皮膚軟部組織などの重症感染症だけでなく,心筋梗塞,大動脈解離,上腸間膜動脈症候群,糖尿病性ケトアシドーシス,副腎不全など内科的エマージェンシーが目白押しである.「とりあえず胃腸炎」という言葉ほど恐ろしい診断はない.

参考文献

1)Longo DL, et al(eds):Harrison's Principles of Internal Medicine 18th edition, McGraw-Hill Professional, New York, 2011
2)Nathan M, et al:Acute infectious diarrhea. New Engl J Med 350:38-47, 2004
3)大西健児,他:JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015腸管感染症.日化療会誌64:31-65, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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