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特集 抗菌薬の考え方,使い方—ホントのところを聞いてみました 消化管感染症
胃腸炎
著者: 法月正太郎1
所属機関: 1自治医科大学附属病院感染症科
ページ範囲:P.1018 - P.1021
文献購入ページに移動嘔吐や下痢で患者さんが来院したら,とりあえず胃腸炎の診断でホスホマイシンとビオフェルミン®とムコスタ®を出しています.重症の場合はホスホマイシンの点滴静注を行っています.これでよいのでしょうか? 問題があるとしたらどの部分ですか? ホントのところを教えてください.
胃腸炎を診断する難しさ
筆者は「胃腸炎」という言葉が大嫌いである.一般的には急性発症の嘔吐・下痢症のことを胃腸炎と呼ぶことが多い.最も頻度が高いのがウイルス性胃腸炎であり,急性下痢症±嘔気嘔吐・腹痛をきたし,対症療法のみで48時間以内に改善する.たとえ忙しい外来であっても,主訴から安易に「胃腸炎」と決めつける前に,立ち止まって考える必要がある.図1に胃腸炎の鑑別診断を挙げた.これらの鑑別を頭に浮かべながら,病歴と身体所見から的確に鑑別しなければならない.敗血症,髄膜炎,脳膿瘍,トキシックショック症候群,重症皮膚軟部組織などの重症感染症だけでなく,心筋梗塞,大動脈解離,上腸間膜動脈症候群,糖尿病性ケトアシドーシス,副腎不全など内科的エマージェンシーが目白押しである.「とりあえず胃腸炎」という言葉ほど恐ろしい診断はない.
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