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文献詳細

雑誌文献

medicina53巻7号

2016年06月発行

文献概要

特集 抗菌薬の考え方,使い方—ホントのところを聞いてみました 腹腔内感染症

腹膜炎

著者: 小林美奈子1 楠正人1

所属機関: 1三重大学大学院医学系研究科先端的外科技術開発学

ページ範囲:P.1030 - P.1032

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Question 1
S状結腸穿孔などによる腹膜炎患者の経験的治療薬として使用すべき抗菌薬の選択と用法・用量について,ホントのところを教えてください.
 消化管穿孔による腹膜炎は2次性腹膜炎であり,多くの場合,腸内細菌科(Escherichia coliなど),Enterococcus属,Bacteroides fragilis,その他の嫌気性菌などの複数菌感染である.よって,これらをカバーするような抗菌薬選択が望まれる.
 限局性腹膜炎など軽症から中等症までの市中発症腹膜炎であれば,セフメタゾール(CMZ),フロモキセフ(FMOX)もしくはセフトリアキソン(CTRX)とメトロニダゾール(MNZ)の併用が勧められる.日本感染症学会と日本化学療法学会が合同で発表したJAID/JSC感染症治療ガイド2014ではアンピシリン/スルバクタム(ABPC/SBT)も推奨薬剤となっているが1),本剤は大腸菌に耐性率が高くなっているため,薬剤感受性がわかっていない時点での経験的治療としての使用はあまり積極的にお勧めできない薬剤であると思われる.また,中等症までの腹膜炎ではEnterococcus属やカンジダ属に対する経験的治療は推奨されていない.

参考文献

1)日本感染症学会/日本化学療法学会:JAID/JSC感染症治療ガイド2014,ライフサイエンス出版,2014
2)Solomkin JS, et al:Diagnosis and management of complicated intra-abdominal infection in adults and children;Guidelines by the Surgical Infection Society and Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis 50:133-164, 2010
3)Sawyer RG, et al:Trial of short-course antimicrobial therapy for intraabdominal infection. N Engl J Med 372:1996-2005, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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