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特集 抗菌薬の考え方,使い方—ホントのところを聞いてみました その他
外傷・動物咬傷
著者: 三好和康1 細川直登1
所属機関: 1亀田総合病院感染症科
ページ範囲:P.1034 - P.1036
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外傷① 転んでできた擦り傷や切り傷の患者さんに抗菌薬は必要でしょうか?
軽度の外傷に対して感染予防目的で抗菌薬投与することの有用性を検討したシステマティックレビューが報告されている.咬傷,熱傷,骨折や関節との交通,腱や神経および大血管の損傷,中等度以上の挫滅創,を除いた手の外傷に対する予防抗菌薬投与は有用性が示されなかった1).このため,転んでできた感染徴候のない擦り傷や切り傷の患者に対する抗菌薬の投与は必要ないと考えられる.また,外来で抗菌薬を処方された患者に関する検討では,抗菌薬処方1,000回につき1回の割合で副作用を主訴に救急外来を受診するという報告がある2).これはワルファリンやジゴキシンといった副作用の多い薬剤と同等の頻度である.したがって,患者ごとに創部を評価し,感染を疑う所見(発赤,腫脹,熱感,疼痛)がある場合のみ抗菌薬を投与するべきと考えられる.
外傷① 転んでできた擦り傷や切り傷の患者さんに抗菌薬は必要でしょうか?
軽度の外傷に対して感染予防目的で抗菌薬投与することの有用性を検討したシステマティックレビューが報告されている.咬傷,熱傷,骨折や関節との交通,腱や神経および大血管の損傷,中等度以上の挫滅創,を除いた手の外傷に対する予防抗菌薬投与は有用性が示されなかった1).このため,転んでできた感染徴候のない擦り傷や切り傷の患者に対する抗菌薬の投与は必要ないと考えられる.また,外来で抗菌薬を処方された患者に関する検討では,抗菌薬処方1,000回につき1回の割合で副作用を主訴に救急外来を受診するという報告がある2).これはワルファリンやジゴキシンといった副作用の多い薬剤と同等の頻度である.したがって,患者ごとに創部を評価し,感染を疑う所見(発赤,腫脹,熱感,疼痛)がある場合のみ抗菌薬を投与するべきと考えられる.
参考文献
1)Zehtabchi S:The role of antibiotic prophylaxis for prevention of infection in patients with simple hand lacerations. Ann Emerg Med 49:682-689, 2007
2)Ong S, et al:Antibiotic prescribing practices of emergency physicians and patient expectations for uncomplicated lacerations. West J Emerg Med 12:375-380, 2011
3)Aziz H, et al:The current concepts in management of animal(dog, cat, snake, scorpion)and human bite wounds. J Trauma Acute Care Surg 78:641-648, 2015
4)Stevens DL, et al:Practice guidelines for the diagnosis and management of skin and soft tissue infections. Clin Infect Dis 59:e10-52, 2014
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