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特集 抗菌薬の考え方,使い方—ホントのところを聞いてみました その他
サイトメガロウイルス感染症
著者: 阿部雅広1 荒岡秀樹1
所属機関: 1虎の門病院臨床感染症科
ページ範囲:P.1038 - P.1040
文献購入ページに移動サイトメガロウイルス感染症の検査でC7-HRPやC10C11などいくつかの血液検査があります.これらが上昇していればCMV感染症と診断していいのでしょうか? 感染が疑われる部位の生検って必要なんでしょうか? ホントのところを教えてください.
サイトメガロウイルス(CMV)感染症の理解においては,CMV感染(infection)とCMV感染症(disease)を明確に区別することが重要になります.CMV感染とは,検体からCMVがPCR法などで検出される場合や細胞変性効果の確認によるCMVの分離,CMV抗原血症の証明(C7-HRPやC10C11などの血液検査陽性)が認められた状態を示します.
これに対してCMV感染症は,肺,腸管,肝臓,網膜などの好発臓器に感染所見・症状が生じている状態を意味します.CMV感染症の検査としてCMV抗原血症のみ認められる場合,あるいは臓器症状とCMV抗原血症の状態だけではCMV感染症の確定診断としては不十分です.症状を呈する臓器に対して,生検などの侵襲的処置を行うことでCMV感染の存在を証明したり,CMV感染細胞を証明することが必要となります.
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