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特集 抗菌薬の考え方,使い方—ホントのところを聞いてみました その他
Antimicrobial stewardship programについて
著者: 中澤靖1 北村好申1 篠崎陽一1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属病院感染対策室
ページ範囲:P.1052 - P.1054
文献購入ページに移動Antimicrobial stewardship program(ASP)って結局誰が何をすればよいのでしょうか? 届け出用紙を提出してもらうだけではだめなのでしょうか? ホントのところ教えてください.
CRE(カルバペネム耐性腸内細菌科細菌)などの内外での拡散を受け,世界的に抗菌薬の適正使用が国家レベルで進められつつある.ASPとは医療施設ごとに抗菌薬の適正使用を推進する仕組みである.すなわち,エビデンスに沿った抗菌薬の使用を,個々の医師の知識のみに頼らず施設として組織的に実践することである.今や抗菌薬は限られた資源と考え,規模によらずすべての医療施設でASPを実践することが望まれる.
ASPの実践は耐性菌発生抑止やコスト削減以外に,患者予後の改善のための感染症診療レベルの向上,発生してしまった院内感染症の適切なリカバリーとしても重要であると考えられる.またASPにて無駄な抗菌薬使用を減少させる効果が期待されるが,一方的な削減によって患者予後が悪化してしまうことは本末転倒であり,症例により適正使用のため投与量の増量や広域抗菌薬への変更をあえて勧めることもある.
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